大塚まさじ

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以前から、とても気になっていた大塚まさじのCDを購入して、今、聞いている。
これがもう、素晴らしいというか、何で今まで聞かなかったのだろうと後悔するほどの
良さなのだ。テレビでは何度も見かけているし、大昔の「ザ・ディランセカンド」の時
代にも少しは聞いていたのだが、きちんとこの人のCDを聞くのは、これが初めてで、
自分でも不思議で仕方がない。本気で聞いてみようと思い立ったのは、先日「高田渡
本」というのを読んでいて、この人が渡氏との思い出を書いてあったのを見て「あっ、
そうか高田渡はこの人を好きだったんだ」と勝手に気がついて、これは聞かなきゃとい
うわけである。

で、何がいいかというと、この「変な声」がとてもいい。
アニメの声優にいそうな特異な声で、なんとも言えない独特の世界を創り出している。
本人が選曲したというベスト盤を聞いているのだが、どの曲も古さや時代を感じさせる
曲がひとつもない。2007年の6月15日の夜に聞いて「ちょうどいい」曲ばかりな
のだ。よく「若年寄」という言い方をされる人がいるが、この人は若い頃の写真を見る
とそれなりの「若者」なのだが(当たり前か)、その頃の曲が今の彼の年令、皺の増え
た中年男、、、いや「初老」に近い男の憂愁の色さえ漂わす彼にぴったり来るのだ。

この人は「月」を永遠のテーマにしているとライナーで田川律(お懐かしや)が書いて
いるが、彼には田舎の月ではなく都会の月が似合う気がする。


大阪ミナミの小便臭い横丁を 小柄な男がポケットに手を突っ込んで歩いていく
月がその横顔を浮かび上がらせて 彼は月をチラッと見上げてはにかむ
遠い日の少年の面影は 月にかかった雲が隠してしまっている
彼は思い出したようにひとつふたつ鼻歌を歌う 
そのしゃれた鼻歌を聞いていたのは ボクと月だけ